インコネルをはじめとする難削材の切削加工では、
工具の摩耗がうまくコントロールできず、安定生産できない場合があります。
今回は実際の経験をもとに、
難削材の加工を安定させるために私が意識している基本的な考え方を整理します。
※このコラムは弊社社長のつぶやきのため、内容の正確性は保証できません。
加工条件を細かく詰めることよりも大事なこと
例えば難削材の1つであるインコネルは、
・工具摩耗が早い
・切削抵抗が大きい
・熱が逃げにくい
といった特徴があり、
加工条件を少し変えただけで結果が大きく変わることがあります。
そのためつい条件を細かく詰めることばかりに意識が向きがちですが、実はそれだけでは安定した加工が実現しません。
私が難削材を加工する際に重要だと考えているのは、
工具の摩耗をコントロールできるように工程を組む
ということです。
特に荒加工と仕上げ加工はしっかりと役割を区別して考えます。
荒加工の考え方
荒加工の役割は、形状を出すことです。加工時には
・ワークを確実にクランプする
・刃は摩耗するものと考え、加工条件を攻める
の2点を意識します。
まず最初に、確実にワークをクランプできる方法を考えます。
難削材は少しずつしか削れない為、どんなに加工条件を検討してもワークが少しでも動いてしまえば工具が折れてしまい、意味をなさなくなってしまいます。
また荒加工の段階では加工条件を攻めてOKです。
加工条件を攻めると加工が不安定になり、加工出来ないと思うかもしれません。
しかし工具を長持ちさせようとして、ただでさえ切り込み出来ない難削材を、
できるだけ「切り込みを浅く」「送りを落として」「時間をかけて削る」といった条件で荒加工を行うと、結果的に
加工時間は大幅に増えるが、工具1本が使えなくなるまでの切削量はほとんど変わらない
ということになることが多く、良品を素早く作る事が出来ません。
しっかりとクランプして工具が折れないようにしてあれば、工具を常に同じように摩耗させることができるため、逆算して工具交換を行う事ができます。
工具摩耗と交換を前提として工程を計画すれば、結果的に素早く安定した荒加工を行う事ができます。
仕上げ加工の考え方
仕上げ加工では精度を出さなくてはいけません。ここでは
・荒加工のバラつきを考慮してプログラムを組む
・工具摩耗を抑える加工条件にする
ことを意識して行います。
難削材の場合、工具の摩耗が激しいため、荒加工後の寸法は一般的な素材よりばらつきやすいと思います。
仕上げ加工ではエアカットが入ってもいいので、寸法のブレの範囲を考慮したプログラムを組む必要があります。
また仕上げ加工では精度を出す為に、工具の摩耗をできるだけ抑える加工条件にします。
荒加工より切削量が少ないので、加工時間が長くなっても比較的影響は軽微です。
ここでも計画的に刃物交換を行います。
まとめ
難削材加工を安定して行うためには、
工具の摩耗をコントロールできるように工程を組む。
・荒加工…工具摩耗は避けられないので、しっかりとクランプし工具が折れない範囲で刃物を頑張らせ、計画的に工具交換する
・仕上加工…荒加工のバラつきを考慮したプログラムを組み、工具摩耗を抑える条件設定をする
というのが私の基本的な考え方です。
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