塚原製作所 加工コラム

航空機の翼に使われるA2024とA7075の使い分け

2025年12月1日

航空機や防衛分野の切削加工部品では、軽量かつ高強度を両立するアルミニウム合金が広く採用されています。
特に航空機の主翼構造では、A2024 と A7075 の2種類が主要材料として使用されており、それぞれ明確な役割と特性があります。

今回はその2つの違いについて整理してみます。

※このコラムは弊社社長のつぶやきのため、内容の正確性は保証できません。

A2024(超ジュラルミン)の特徴と用途

・疲労強度に優れるため、繰り返し荷重が作用する部位に最適
・航空機の胴体外板、主翼外板、内部構造部材など幅広く使用
・機体の軽量化と耐久性を両立する材料として定評


航空機部品の切削加工では、安定した加工性と強度バランスから非常に採用の多い材料です。

A7075(超々ジュラルミン)の特徴と用途

・アルミ合金の中でも最高クラスの強度を持つ
・翼の根元、桁(スパー)、主要フレームなど高応力部に使用
・強度と剛性が求められる航空宇宙用途に不可欠


防衛装備品や航空機向けの精密切削加工でも、最重要部材として選ばれています。

A2024 と A7075 の代表的な材料特性(比較)

特性 引っ張り強さ 耐力 特徴
A2024 約470N/mm² 約325N/mm² 疲労強度と破壊靭性が高い 亀裂が広がらない性質がある
A7075 約570N/mm² 約505N/mm² 強度が非常に高い

航空機の設計ではこれらの特性を踏まえ、安全性・軽量化・加工性を総合的に最適化して材料が選定されます。
切削加工性はどちらもあまり変わらないように思えます。

翼の上面・下面で材料が異なる

航空機の翼には、飛行時に以下のような力が働きます。

翼上面:圧縮力(上から押しつぶす力)
翼下面:引張力(引き伸ばす力)

これらの応力特性に合わせて、
下面に疲労強度と破壊靭性 亀裂が広がらない性質があるA2024 
上面に高強度が必要なA7075
が選択されているようです。

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